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開業届の提出をする際に必要なものと手続きを合わせて解説

シェアダイン編集部
作成日:2022/04/08
更新日:2023/01/19

目次

新型コロナウイルスの全国的なまん延により大きな打撃を受けた外食産業。いまだ先の見えない状況ではありますが、一方でアフターコロナを見据えたリベンジ消費を期待する声も。「船出は引き潮なればこそ」と逆風の中で開業に乗り出す例も増えています。

そこでこの記事では飲食店の開業手続きに着目。飲食店営業許可をはじめ開業に必要な各種手続きについて詳しく解説いたします。

開業届はどこで手に入るか

個人経営の飲食店は個人事業主となるため開業日から1ヶ月以内に「個人事業の開業・廃業等届出書」を税務署に提出しなければなりません。「開業・廃業等」とあるのは開業と廃業の両方の届出に使えるフォームのため。開業届は「開業」欄にのみ記入します。

「個人事業の開業・廃業等届出書」は所轄の税務署の窓口で入手できるほか、国税庁のWebサイトからPDF形式でダウンロードすることも可能です。

開業届の書き方

「個人事業の開業・廃業等届出書」の書き方について各欄ごとに解説します。

税務署名

「個人事業の開業・廃業等届出書」の最上段左に届出書を提出する所轄の税務署と提出日を記入します。

納税地

上段右の「納税地」欄の「○住所地・○居所地・○事業所等」のいずれかを選択して住所と電話番号を記入します。納税地以外に住所や事業所がある場合は「納税地」の下段にある「上記以外の住所地・事業所等」の欄に記入しましょう。

氏名・生年月日

申請者の氏名と生年月日を記入して押印します。

個人番号

事業主のマイナンバーを記入します。

職業

飲食店の開業届ですので「飲食店業」と記入しましょう。

屋号

開業する飲食店の店名を記入しましょう。

届出の区分

「開業」欄にのみ記入します。

所得の種類

「事業所得」を選択しましょう。

開業・廃業等日

開業日を記入します。開業届の提出日から1ヵ月以上前の日付を書かないように注意しましょう。

事業所等を新増設、移転、廃止した場合

新規の開業届出では記入する必要はありません。

廃業の事由が法人の設立に伴うものである場合

こちらも記入は必要ありません。

開業・廃業に伴う届出書の提出の有無

青色申告承認申請書を提出する場合は「有」を選択します。

消費税に関する「課税事業者選択届出書」又は「事業廃止届出書」

新規開業した個人事業主は課税事業者ではないので「無」を選択します。

事業の概要

開業する事業の内容を記入します。たとえば「イタリアの家庭料理とワイン等を提供するレストラン事業の運営。」のように一行で簡潔に記入しましょう。

給与等の支払の状況

「区分」のうち「専従者」とは個人事業主と生計を共にする配偶者や15歳以上の親族のこと。1年の半分以上事業に専ら従事する家族従業員を意味します。「使用人」は家族以外の従業員を雇用する場合に人数とともに記入します。

給与の定め方

時給、日給、月給など給与の支払い方法を記入します。

税額の有無

源泉徴収の有無を記入します。専従者や使用人に給与を支払う場合は源泉徴収が基本ですので、「有」を選択しましょう。

源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書の提出の有無

源泉所得税の納期は徴収日の翌月10日ですが、給与を支払う専従者や使用人が常時10人未満の場合は「源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書」を提出すると源泉所得税の納付を半期に1度(年2回)に変更可能。特例を申請する場合は「有」を選択します。

給与支払を開始する年月日

従業員に給与を支払う場合に支払開始予定の年月日を記入します。すでに支払った場合はその年月日を記入しましょう。

関与税理士

顧問契約を結んだ税理士がいる場合に記入しましょう。

飲食店を開業する際に開業届以外で必要なもの

先述した「個人事業の開業・廃業等届出書」は税務署に個人事業の開業を申請する書類です。飲食店の場合は他にも保健所や消防署などへの許可申請が必要です。そこでここでは、飲食店を開業する上で必要な届け出をすべて網羅してご紹介します。


飲食店営業許可

「飲食店営業許可」は自治体に飲食店の営業許可を申請する手続きのこと。基本的な手順は以下の通りです。

事前相談

事前相談とは、開業前に店舗の所在予定地を管轄する保健所に出向いて営業許可を受ける手続きなどを確認します。

営業許可申請

営業許可申請は開業の15日前までに行います。申請は厚生労働省がオンラインで運用する「食品衛生申請等システム」を利用するか、保健所の窓口で行います。必要書類は食品営業許可申請書、施設の構造及び設備の概要、食品衛生責任者の資格証明書などです。

関連記事:
飲食店の営業許可証を申請するときに必要なものとは 許可証の違いも合わせて解説

施設検査

開業を予定する飲食店の店舗が完成したら施設基準に適合しているかどうかを現場調査で判断します。適合を確認できたら許可審査および許可証を発行する手続きに移ります。

営業許可証の交付・営業開始

施設検査の約2週間後に営業許可証を交付します。


防火管理者選任(解任)届出書

収容人員が30人以上の飲食店では消防法の規定により防火管理者の選任が必要です。小規模の飲食店でもテナントで入居する建物全体の収容人員が30人以上であれば、テナントごとに防火管理者を選任しなければなりません。

防火管理者の届出は、管轄の消防署長に「防火管理者選任(解任)届出書」を提出して行います。書類のフォームは自治体のホームページからダウンロードできます


労災保険、雇用保険の加入手続き

労災保険(労働者災害補償保険)とは労働者が職務上の事由または通勤途上において負傷や病気、死亡など被災した場合に当該労働者やその遺族を保護するために必要な保険金を給付する保険です。

次に雇用保険とは、労働者が失業するか雇用の継続が困難となった場合に、労働者の生活や雇用の安定維持を図り、再就職の促進に必要な保険金の給付を行う保険制度です。

労災保険の加入にあたっては所轄の労働基準監督署か公共職業安定所に労働保険の保険関係成立届を提出。その年度分の労働保険料を概算して申告・納付しなければなりません。

また雇用保険を加入する場合は上記の労働保険の保険関係成立届のほかに雇用保険適用事業所設置届と雇用保険被保険者資格取得届を所轄の公共職業安定所に提出する必要があります。どちらも従業員を雇用した日の翌日から10日以内に届け出てください。

関連記事:
飲食店で使える保険とは リスクに適応したそれぞれの保険を解説

深夜酒類提供飲食店営業開始届出書

深夜に酒類を提供する営業形態の飲食店を開業する場合は、風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律施行規則により、店舗の所在地を管轄する警察署の生活安全課に深夜酒類提供飲食店営業開始届出書を提出しなければなりません。

届出書の入手方法や届出手続きの方法については所轄の警察署のWebサイト等をご参照下さい。

営業形態によって必要な届出

店内で製造したケーキやパン、あん類などをテイクアウト用として販売する場合は菓子製造業許可が必要です。またハム・ソーセージなどを自家製造して販売する場合は食肉製品製造業の営業許可を取得しなければなりません。

またアイスクリーム類を提供する場合、既成の製品をアレンジして提供するだけなら飲食店営業許可の範囲内で可能ですが、牛乳や生乳を原料として自家製造する場合はアイスクリーム製造業許可が必要になります。

まとめ

飲食店の開業にあたっては届出や許可申請の手続きが必要です。開業前後は不慣れな作業に忙殺されて必要な届出手続きを怠ってしまいがちになります。書類は正確に記載し、提出先や期日を間違えずに提出すること。万全の準備で開業に向けて踏み出しましょう。

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