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飲食店における融資とは 助成金と補助金との違いの解説

シェアダイン編集部
作成日:2022/03/28
更新日:2023/01/23

目次


この記事では、飲食店の開業資金と開業時に受けられる補助金の違いについてご説明します。

融資と補助金・助成金の違い

飲食店に限らず、何かしら事業を始めようとすると資金が必要になりますが、自己資金だけでは賄えない時に資金を調達する手段に融資、補助金、助成金があります。
 
融資とは金融機関から必要な資金を借りることです。
借入なので当然返済義務が生じる上、利息も発生します。
それに対して助成金や補助金は国や公的機関から資金を補填してもらえる仕組みで、原則返済不要の場合が多いでしょう。
つまり融資は「借りた」お金で、補助金や助成金は「もらえる」お金です。
 
補助金とは地域活性化やものづくりの促進、中小企業支援を目的として経済産業省や地方自治体が実施している給付金です。
受給金額は数百万~最大5,000万円と多く、3,000種類以上あるといわれており、高額の為、公募期間が短く、受給には要件を満たし、かつ審査に通る必要があります。
また、補助金は使い道が細かく指定されており、申請内容が趣旨に合致しているか厳しく審査されますが、補助金は活性化を目的としている為、開業費用だけではなく宣伝広告費などに対しても給付されるものがあります。
 
助成金は主に雇用の安定と労働環境の改善を目的として厚生労働省や地方自治体が実施している交付金です。
受給金額は数十万~数百万程度で、50種類前後が用意されています。
要件を満たして入れば高確率で受給されることが多く、公募期間も長いです。
助成金は地方自治体によって産業振興等を目的とした地方独自のものも用意されています。
また、助成金の財源は雇用保険料であり給付目的も雇用関係としていることから、どの助成金でも雇用保険には必ず加入しなければならないという条件があります。
 
補助金と助成金は事業の支援やサポートの為に支給される返済義務のないお金です。
自己資金として扱えるのは最大のメリットですが、申請後すぐに入金されるわけではありません。
飲食店の開業時や開業直後に受給できる補助金、助成金も多くありますが、原則として後払いであり、対象となる事業を実施した後に実績報告を行いそれに対して交付されます。
その為、開業前に必要な資金として受給したいと考えている場合、早めに申請を行うことで受給することも可能な場合もありますが、一般的には自己資金で賄うか、日本政策金融公庫から創業融資を受給するのが推奨されます。

代表的な融資

実際に飲食店を開業する際には、店舗費用や内装費、厨房機器だけではなく、食器やその他消耗品に加え、2ヶ月分程の運転資金が必要になります。
また、田舎より都会の方がより費用が高くなる傾向があり、都内だと20坪程度の広さであっても1,000万~1,500万程の資金が必要です。

自己資金が足りない場合は融資を受け借入をすることになります。

借入というと銀行を思い浮かべる方が多いと思いますが、多くの銀行は飲食店の開業資金を貸してくれません。

事業者が既に事業を起こしており、以前に何らかの融資を受けた経験がある、経営実績がある場合は別として、実績がないとなかなか融資は通りません。
そこで実績がなくても融資をしてくれる公的機関をご紹介します。

日本政策金融公庫

日本政策金融公庫は事業に取り組む方々を支援する政策金融機関で国民生活の向上に寄与することを目的としています。
日本政策金融公庫は株式会社で、その株の100%を国が常時保有しており、つまり、政府公認の金融機関で、銀行や信用金庫など民間の金融の手が及ばないところを支援してくれます。
1社あたりの平均融資残高は約1,000 万円で、その内、なんと99.2%が無担保融資となっており、個人で飲食店を開店したいと考えている人にとってはとても心強い存在です。


日本政策金融公庫は融資制度が複数あり、融資を受けるには書類提出の他に面談もあるので、融資を受けたい人は事前準備が必要です。

信用保証協会融資

信用保証協会融資とは、実績がない事業者が信用保証料を支払うことで信用保証協会のサポートを受け、銀行等の公的機関から融資を受けることです。
信用保証協会は中小企業や小規模企業の事業者が円滑に融資を受けやすくなるようにサポートしてくれる公的機関で、全国47都道府県と横浜市、川崎市、名古屋市、岐阜市の4市にあります。

融資を受ける場合は連帯保証人や担保を求められることがあります。

万が一、債務者が返済できなくなってしまった場合は、連帯保証人が代わりに返済したり、担保を失ったりしますが、信用保証協会のサポートを受けていると、信用保証協会が債務者に代わり金融機関に代位返済をしてくれます。

その為、信用保証協会を利用すると新規で開業したいが実績がない人や保証人がいない人、担保がない人等でも融資が受けやすくなるという訳です。

ここまでの説明だと、融資を受けるサポートをしてくれて、返済できなくなった場合は代わりに返済してくれるなんてラッキーと思われるかもしれませんが、代位返済してもらったからと言って返済義務がなくなるわけではありません。

事業者は信用保証協会が建替てくれた分を返済する必要があります。
この時の返済には利息は付きませんが、期日までに返済ができないと遅延損害金が発生ます。

また、信用保証協会を利用すると融資を受けやすくなる半面、融資が開始されるまでの期間が長くなるのはデメリットの1つです。
利用にはまず信用保証協会の審査に通る必要があり、この審査には1か月から1か月半程度かかります。
その分、出店、開業準備期間は延びますし、融資が開始するまでの間の資金は自己資金で賄う必要があります。
そして、信用保証料の負担もあります。
信用保証料は融資の額や種類によって異なりますが、おおむね0.5から2.0%です。
融資額が大きければ大きいほど保証料も多くなるため、負担も増えます。

信用保証には業種や規模などによりいくつかの種類があり、全国で統一されているものと各地域に合わせたものがありますので、興味のある方はご自身の地域の保証制度を調べてみるのもおすすめです。

銀行その他の金融機関

最近ではクラウドファンディングで資金を調達する事業者も増えていますが、融資を受けられる金融機関と考える銀行、信用金庫、ノンバンク、公的金融機関があります。
このうち、公的機関とは日本政策金融公庫と信用保証協会を指します。

銀行は都市銀行、地方銀行含め実績がない場合や、初めて融資を受ける事業者には貸してくれないことが多く、融資を受けける際、上記でご紹介した信用保証協会のサポートを受けた上での融資を提案される場合がほとんどです。
信用金庫も同様で信用保証協会のサポート付きで融資を提案される場合が多いですが、信用金庫の目的上地域の活性化に力を入れており、地域の中小企業や小規模事業者を対象にしていることが多いです。

一度融資を受けると、信用金庫との信頼関係もでき、その後の経営や資金なども相談することもできるので、地域に根差した中小企業や小規模事業者は信用金庫からの融資を受けることは魅力的です。

ノンバンク

ノンバンクとは銀行、信用金庫以外の預金機能のない金融機関のことで、クレジットカード会社、信販会社、消費者金融などが当たります。
ノンバンクは「貸金業法」という法律の「総量規制」が適応されます。
これは簡単に言うと借りすぎを予防するもので、安定した収入や年収がない人はノンバンクを利用することはできません。
その為、専業主婦や学生などの未就業者は利用できないのはもちろん、開業準備の為に退職し一時的に無職になる場合は、期間限定であることをしっかりと伝えておくことが大切です。

ノンバンクが取り扱っている事業性無担保ローンはビジネスローンとも呼ばれ、メガバンクや都市銀行でも取り扱いがあります。
このビジネスローンの特徴は審査から融資までのスピードが速い事で、会社によっては即日融資可能な会社もあります。
急な資金調達が必要な場合は便利ですが、その反面ビジネスローンは銀行の融資に比べると金利が高く設定されている傾向があります。
借入先を検討する際は金利や利息の条件をよく確認することが大切です。

融資を受ける際に気をつけなければいけないこと

融資の判断基準のポイントとしてまずは経験が重要視されます。
飲食店を開業したい場合、飲食店での勤務年数が6年以上あると評価が高くなるといわれています。

しかし、気を付ける点はこれ以外にもあります。
日本政策金融公庫の融資通過率は公表されていませんが、50%から60%と言われています。
つまり2人に1人が審査に落ちていることになります。

信用情報について

信用情報とは個人の金銭支払能力のことです。
カードの支払いや家賃、水道光熱費、税金がこれにあたり、未納や支払遅延があると返済能力が低いと判断され審査の通過は難しいです。
また、消費者金融からの借入や5年以内に債務整理を行っている場合も要注意です。

事業計画があるか

事業計画は審査の大きなポイントになります。
事業計画では受給したお金の使い道は破綻して無いか、売上、利益、返済のバランスに矛盾点は無いか、集客計画に問題は無いかをチェックされます。
特に集客計画は売上に直結し、その結果返済へつながる為、販売単価、ターゲット層等しっかりと記入しましょう。
 
事業計画を作成するための創業計画書は日本政策金融公庫のHPからダウンロードできます。

自己資金の額

開業時に融資を受けるとしても全額を賄える訳ではありません。
もちろん自分でもいくらか準備しておく必要があります。
日本政策金融公庫の創業融資制度では自己資金は「融資希望総額の10分の1以上」となっています。
仮に創業するために1,000万必要な場合は、最低でも100万円の自己資金が必要ということになります。
しかし、実際は10%程度だと、審査を通過するのは厳しく、最低でも30%から50%程度の資金を自分で用意できると審査を通過する可能性が高くなってきます。

日本政策金融公庫の審査では実際の預金口座の通帳を開示します。
この時、貯金額が少ない場合は、積立式の保険や配偶者の方の預貯金などを資金として提示することも可能ですが、第三者から借りたお金は「見せ金」と判断されてしまう可能性がありますので注意が必要です。

まとめ

・融資、補助金、助成金とそれぞれの違い
・代表的な融資先(公的機関、銀行、ノンバンク)
・創業計画書に必要な信用情報、事業計画、自己資金

開業するには多くの資金が必要になると思います。
その時に一部を賄える融資、補助金、助成金はとても心強いですね。
そして何よりも自己資金が多いに越したことはありません。
理想的な自己資金は「コツコツとためている貯金」ですので、いつ、何年後、どこで、どんなお店等、自分のやりたい事をしっかりと考察し、必要な金額を意識ておかれるといいかと思います。

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