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飲食店で利用できる補助金とは 各補助金とポイントの解説

シェアダイン編集部
作成日:2022/03/17
更新日:2023/01/26

目次

新型コロナウイルス感染症の影響により、飲食業界は苦境に立たされています。しかし、国もそんな飲食業界を含め、さまざまな業種を救済すべく多くの補助金制度を創設しています。これらの補助金を申請し、採択されれば国から補助金として事業のためのまとまった資金が支給されます。

補助金制度にはさまざまなものがあり、また補助金と助成金の違いもあります。この記事では、飲食店でどんな補助金が利用できるのか、またいかに資金調達や安定化につなげることができるのかについてご紹介いたします。
 

補助金と助成金とは? ~両者の違い~

まず、補助金ですが、これは国の方で審査があり、いわゆるコンペ形式をとっている給付のことです。申請数が多ければそれだけ倍率は厳しくなります。一方の助成金はハードルがやや低く、様式を満たしていればほぼ100%支給されるというものです。
 
また、補助金は経済産業省もしくは地方自治体が主管になっていて、主には法人税を財源としていますが、一方の助成金は厚生労働省から発表され、雇用保険料を財源としています。さらに、公募期間も助成金よりも補助金の方が比較的短いのも特徴です。

参考:助成金と補助金の違いを詳しく解説 | 助成金申請代行の助成金のミカタ 

飲食店の開業時には多額の開業資金が必要になります。自己資金で賄うほかに当然金融機関からの融資を受けるのも一つの手ですが、これら補助金や助成金を受けるという方法もあります。すでに開業届を提出していれば開業時に申請できる補助金や助成金もあるので検討してみましょう。

 
飲食店で利用できる補助金とは

補助金には細かいものも含めると全部で1万種類以上もあり、多岐にわたっています。その中で飲食店の開業に利用できるものもあり、以下のようなものがあげられます。

  • 小規模事業者持続化補助金(一般型)
  • 小規模事業者持続化補助金(低感染リスク型ビジネス枠)
  • IT導入補助金
  • ものづくり補助金

 

小規模事業者持続化補助金(一般型)

小規模事業者が取り組む販路開拓等の取組の経費の一部を補助する補助金制度のことで、小規模事業者(特定非営利活動法人を含む場合もある)が今後複数年にわたり相次いで直面する制度変更等に対応することが目的です。
制度変更とは具体的には、働き方改革や被用者保険の適用拡大、賃上げ、インボイス導入等のことを言います。
 
小規模事業者持続化補助金は、小規模事業者の地道な販路開拓等の取組や業務効率化の取組を支援するためのものです。審査のポイントとしては

  • 補助事業計画は具体的で小規模事業者にとって実現可能性が高いものとなっているか
  • 小規模事業者ならではの創意工夫があるか
  • ITを有効の活用する取組が見られるか

などがあります。これらが認められれば補助金採択により近づくでしょう。

参考・引用元:
令和元年度補正予算 日本商工会議所 小規模事業者持続化補助金 :: 申請について
公募要領 P58 表1:審査の観点

 

小規模事業者持続化補助金(低感染リスク型ビジネス枠)

新型コロナウイルス感染症における感染防止と事業継続を両立させるための対人接触機会の減少を目的とした投資を行い、ポストコロナを見据えた新たな機会のビジネスやサービス、生産プロセスの導入等の取組を支援するものです。
 
対人接触機会を減らす感染防止対策費とは例えば、下記が該当いたします。

  • 個室設置
  • テイクアウト、デリバリー対応の費用
  • テレワーク環境、Web会議
  • タッチパネル、セルフレジ、キャッシュレス化

 
審査のポイントとしては、

  • 小規模事業者が主体的に活動し、その技術やノウハウなどを基にした取組であること。
  • 自社の経営状況に関する分析の妥当性、経営方針・目標と今後のプランの適切性、補助事業計画の有効性、積算の適切性を有する事業計画になっていること

などがあり、これらの条件を満たすものは審査上有利になるでしょう。

参考・引用元:
事業概要・活用例 | <低感染リスク型ビジネス枠>小規模事業者持続化補助金
小規模事業者持続化補助金(低感染リスク型ビジネス枠)公募要領P24 書面審査の項
 

IT導入補助金

開業・営業に必要な機器などのITツールを導入するための資金を工面できる補助金になります。
 
中小企業・小規模事業者が自社の課題やニーズに合ったITツールを導入する経費の一部を補助することで、みなさんの企業の業務効率化・売上アップをサポートするものです。
 
自社の置かれた環境から自社の強み・弱みを認識・分析し、経営課題やニーズにマッチしたITツールを導入することで、業務効率化・売上アップといった経営力の強化を図ることが目的です。

参考・引用元:
事業概要 | IT導入補助金
 
IT導入補助金はこれまでの通常枠(A類・B類)と低感染リスク型ビジネス枠(C1類・C2類・D類)に分かれています。低感染リスク型ビジネス枠とは前述の小規模事業者持続化補助金の低感染リスク型ビジネス枠のように新型コロナウイルス感染症の低感染を目的としており、対人接触機会の減少・複数プロセスの非対面化が狙いです。
 
通常枠
類型ごとのプロセス要件を満たすものであり、労働生産性の向上に資するITツールであること。(当該要件はC・D類型においても前提条件)
補助金額

  • A類 30~150万円未満
  • B類 150~450万円以下 補助率はともに1/2 

 
低感染リスク型ビジネス枠C類
複数のプロセス間で情報連携し複数プロセスの非対面化や業務の更なる効率化を可能とするもの

低感染リスク型ビジネス枠D類
テレワーク環境の整備に資するクラウド環境に対応し、複数プロセスの非対面化を可能とするもの
補助上限金額

  • C1類 30~300万円未満 
  • C2類 300~450万円以下
  • D類 30~150万円以下 補助率はともに2/3 


参考・引用元:
事業概要 | IT導入補助金
 

ものづくり補助金

ものづくり補助金(正式には「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」)は、中小企業・小規模事業者が取り組む革新的サービス開発・試作品開発・生産プロセスの改善を行うための設備投資等を支援するものです。通常枠、グローバル展開型の他に「回復型賃上げ・雇用拡大枠」「デジタル枠」「グリーン枠」も設けられています。
 
ものづくり補助金の給付条件について要約すると、10次締め切り(2022年(令和4年)3月2日)のデータでは、
補助上限金額

  • 一般型「通常枠」「回復型賃上げ・雇用拡大枠」「デジタル枠」750~1250万円
  • グリーン枠 1000~2000万円
  • グローバル展開型 3000万円

補助率

  • 一般型「通常枠」1/2 それ以外 2/3
  • グローバル展開型 1/2 小規模事業者等 2/3

補助条件

  • 事業場内での給与支払いを総額年率1.5%以上増額すること。
  • 地域における最低賃金に対して事業場の給与が+30円以上であること。
  • 事業場における付加価値が年率3%以上であること。

があげられます。
 
ものづくり補助金において注意すべきは開発や製造が伴っていなければならないということです。したがって、製造などをせず単に企画するだけの事業や資産運用だけの事業は認められません。

参考・引用元:
ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金公募要領
 

まとめ

・国に対して申請できる給付には補助金と助成金がありますが、補助金はコンペ形式で合否があり、助成金はほぼ100%給付される資金のことです。
・国に対して申請できる補助金は多岐にわたりますが、飲食業界という観点からすれば申請できそうなのは主には上記の4つです。
・コロナの時代というと子を踏まえて、「低感染」を標榜した補助金が多く、小規模事業者持続化給付金(低感染リスク型ビジネス枠)やIT導入補助金の低感染リスク型ビジネス枠C類(C1、C2)、D類などはその例です。
・それぞれの補助金には補助上限や補助率が各々異なり、また審査のポイントも異なりますからそれぞれの補助金に合った申請書の作成を心がけるべきです。審査のポイントはそれぞれの補助金のホームページの募集要領にあります。自分で作成することが困難な人は専門家(中小企業診断士・行政書士)に依頼する方法もあります。

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