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雇用調整助成金とは 受給条件と注意点の解説

シェアダイン編集部
作成日:2022/04/06
更新日:2023/01/19

目次

 
 新型コロナウィルスの感染拡大によって、経済的に大きな影響を受けた2021年。特に飲食業界に関しては大きく影響を受けた企業も多く、営業時間の短縮や休業などを検討せざるを得ない店舗も少なくありません。
 休業を検討するとなると、現在雇っている従業員の人件費が大きな問題として上がってきます。
 事業主にとって大きな問題となる収入は減るけれども雇用は維持したいという問題に、金銭的な問題を軽減してくれるのが「雇用調整助成金」という制度になります。
 この記事では「雇用調整助成金」とは何か?どういった条件で支給され、どれくらい補助してくれるのかについて解説していき、記事を通して助成金の受け取り条件から申請までの方法を知ることが出来ます。
また、記事中の雇用調整助成金の条件、注意点は厚生労働省の内容を引用しご説明させていただきます。
参考・引用元 雇用調整助成金 |厚生労働省
 

雇用調整助成金とは

 雇用調整助成金とは景気の変動、産業構造の変化、その他の経済上の理由により事業活動の縮小を余儀なくされた場合、従業員の雇用維持を図るために「労働間の協定」に基づき「雇用調整(休業)」を実施する事業主に対して、休業手当などの一部を助成するものです。

休業のみではなく、事業主が労働者を出向させ雇用を維持した場合であっても雇用調整助成金の支給対象となります。
 
雇用調整助成金はいくらもらえる?
助成金は申請を行った事業主が支払った休業手当負担金額に中小企業であれば2/3を、中小企業以外であれば1/2を掛けた金額が支給されます。

 教育訓練を実施した場合、上記の金額に1人、1日あたり1200円が加算されます。
ただし一人あたりの上限金額は8,265円を上限とするように基準が設けられております。

受給額は休業、教育訓練の初日から1年間で最大100日分、3年間で最大150日分。出向の場合は最長1年間の出向期間中受け取ることが出来ます。
雇用調整助成金の条件
助成金を受けるために必要な条件は5つあり、その5つ全てに当てはまっている事が助成金を受け取る条件になります。

  1.   雇用保険の適用事業主であること。
  2.   売り上げ、又は生産量などの事業活動を示す指標として、その3ヶ月間の平均値が前年同期に比べて10%以上低下していること。
  3.   雇用保険被保険者数及び受け入れている派遣労働者数による雇用量を示す指標について、その最近三ヶ月間の月平均値が前年同期に比べて、中小企業の場合は10%を超えてかつ4人以上、中小企業以外の場合は5%を超えてかつ6人以上増加していないこと。
  4.    実施する雇用調整が一定の基準を満たすものであること。

① 休業の場合
労働日の1日にわたって実施されるものであること。または従業員全員について一斉に1時間以上実施されるもの。
② 教育訓練の場合
① と同様の基準の他、教育訓練の内容が業務上必要になる知識や技能の習得や向上を目的であるものあり、受講日において業務に就かないものであること。
受講者本人のレポート等の提出が必要になります。
③ 出向の場合
対象期間内に行われ、3ヶ月以上1年以内に出向元に復帰するものであること。

5   過去に雇用関係助成金の支給を受けたことがある事業主が新たに対象期間を認定する場合、直線の対象期間の満了の比の翌日から起算して1年を超えていること。 
上記の5条件に加え

  • 支給の為の審査に協力すること。
  • 支給の決定の為の審査に必要な書類を整備、保管していること。
  • 支給の審査に必要な書類等を、管轄労働局などから求められた場合に応じること。
  • 管轄労働局の実地調査を受け入れること。
  • 申請期間内に申請を行うことなどがあげられます。

まとめると
雇用保険対象者の雇用主であること。

  • 去年と比べて売り上げが10%以上落ちていること。
  • 去年の同時期と比べ人員の増加を行っていないこと。
  • 1日以上の休業、または全職員の1時間以上の時短。教育訓練、出向が行われていること。
  • 過去に助成を受けてから1年を超えて居ること。

上記の条件を確認するための調査に協力的であることが条件になります。
雇用調整助成金の申請方法
 休業を行った場合、「支給申請書(休業等)」に下記の5つの書類を添付して都道府県労働局、又はハローワークに提出をすることで申請となります。
1   助成額算定書
2   休業・教育訓練実績一覧表及び所定外労働等の実施状況に関する申出書
3   支給要件確認申立書
4   労働保険料に関する書類
この労働保険料に関する書類は通常の場合「労働保険確定保険料申込書」を。労働保険関係業務を労働保険事務組合に委託している場合「労働保険料等算定基礎賃金等の報告」のどちらかの書類で確認が出来ます。

5   労働・休日及び休業・教育訓練の実績に関する書類
この労働日・休日及び休業・教育訓練の実績の確認のための書類として「出勤簿」や「タイムカード」などの書類。
シフト制、交替製又は変形時間労働制を取っている場合には上記に加えて「勤務カレンダー」や「シフト票」などの書類が該当します。

休業手当・賃金及び労働時間の確認のための書類には前4ヶ月分の「賃金台帳」などで確認が取れます。

出向を行った場合「支給申請書(出向)」に下記の5つの書類を添付して都道府県労働局又はハローワークへ提出をしてください。
1   出向先事業所調査書
2   出向に関する確認書
① 出向の事実、出向の時期、出向労働者の人数、出向の形態と雇用関係及び雇用保険被保険者に確認のための書類が出向に関する確認書に当たります。
具体的には出向先事業所の「労働者名簿」「出勤簿」「タイムカード」「出向者労働者台帳」などの書類が当てはまります。
② この確認書類と雇用保険被保険者資格が確認できる書類。

雇用保険の被保険者資格が出向先事業所に移る形態の出向の場合出向先事業所の「雇用保険被保険者資格取得確認通知書」が必要になります。

雇用保険の被保険者資格が元出向事業所に残る形態の出向の場合は出向先事業所の「労働者名簿」「出勤簿」「賃金台帳」が必要になります。
出向に関する確認書類は上記の①と②を用意が必要になります。 

3   出向元事業所賃金補填額・負担額調書
出向元事業主が出向労働者の賃金の一部を負担している事が確認できる書類、「賃金台帳」など、出向中の賃金額が出向前の賃金額に相当することを確認できる書類になります。

4   支給要件確認申立書
5   出向の実績に関する書類

雇用調整助成金の注意点
注意点としては助成金を受け取れない事業主の条件があるという点と不正支給が発覚した場合、厳しい措置が執られるという2点になります。
① 支給を受けることの出来ない事業主の条件は下記の8つの条件のうち一つでも当てはまる場合支給を受け取ることが出来ません。

  1. 不正受給をしてから3年以内に支給申請をした事業主、あるいは支給申請後、支給決定日までに不正受給をした事業主
  2. 支給申請日の属する年度の前年度より前のいずれかの保険年度の労働保険料を納入していない事業主。
  3. 支給申請日の前日から起算して1年間の日から受給申請日の前日までの間に、労働関係法令の違反があった事業主
  4. 性風俗関連営業、接待を伴う飲食等営業またはこれらの営業の一部を行う事業主
  5. 事業主又は事業主の役員等が、暴力団の関わりがある場合
  6.  事業主又は事業主の役員などが、破壊活動防止法第4条に規定する暴力主義的破壊活動を行った又は行う恐れのある団体に属している場合
  7.  支給申請日または支給決定日の時点で倒産している事業主
  8.  不正受給が発覚した際に都道府県労働局等が実施する事業主名等の公表について、あらかじめ同意していない事業主。

② 実際に「休業」を行っていないにもかかわらず実施したものとして支給申請を行うなどの不正が認められた場合

  1. 不正の事実があった時点以降の全ての受給額の返還
  2. 事業所名の公表
  3. 詐欺罪などによる告発

と厳しい措置がとられます。

まとめ

 飲食店にとって経験があり、業務になれた人材は手放したくないものです。それでも休業や時間短縮により雇用を維持したくても、人件費の負担を考えるとそのまま雇用の維持も出来ない問題に多くの店舗が頭を悩ませています。
 やむを得なく、休業を選択したとしても、通常営業を再開するときに、人手を確保できない、募集から始めなくてはいけない。とならないためにも、「雇用助成金」を活用し人件費の負担を少しでも軽減し、通常営業再開の際にスムーズに営業を再開できるよう準備をしていくことが重要になります。
 
参考・引用元 雇用調整助成金 |厚生労働省
 
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