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食品衛生責任者とはなにか 食品衛生管理者との違いも合わせて解説

シェアダイン編集部
作成日:2022/04/07
更新日:2023/01/19

目次

飲食店を営業する際に絶対に必要となる資格の一つが「食品衛生責任者」です。食品衛生責任者は食品衛生法に定められた営業許可施設ごとに配置することが定められています。
例えば、販売部門と製造部門がそれぞれに分かれている企業の場合、販売部門と製造部門に食品衛生責任者を選任し配置しなければなりません。開業を目指していても、食品衛生責任者を配置できなければ、開業できないことになります。

また、似たような資格で「食品衛生管理者」という資格もあります。食品衛生責任者と食品衛生管理者は内容は全く別のものであり資格の取り方にも違いがありますが、名前が似ていることから勘違いしているかたもいるようです。

この記事では食品衛生責任者とはなにか、食品衛生管理者との違いなどをまとめていますので飲食店の開業を目指している方や食品衛生責任者の資格を取ろうと考えている方はぜひ参考にしてみてください。


食品衛生性責任者とは

食品衛生法において「飲食店に起因する危害の発生を防止し、よって国民の健康の保護を図ること」と規定されています。食品衛生責任者はこの衛生法にのっとって顧客の飲食において安心で安全なものを提供するための役割をになっているのです。例えば食品衛生上の事故の発生を防ぐため必要に応じて包丁やまな板などの調理器具が古くなったら買い替え、冷蔵庫の冷え方が弱くなったら点検・修理、買い替えを提案し経営者などに改善のアドバイスや改善策を施すことも食品衛生責任者の大事な役割となります。食品関連の法令を順守することで食品衛生法やその他の法律を守ることは当然、ほかの従業員にも指導し徹底しなければなりません。

このようにお客様の生命の維持を担っているわけですので、しっかりとした食品衛生に関する知識、技術、ノウハウを持った食品衛生責任者資格を有する人が、飲食店には最低1名常駐する必要があります。

飲食店の経営を始める際、店舗に必ず1名は食品衛生責任者を設置することが義務付けられていますが、オープンまでに設置することが出来ない場合は保健所の窓口へ「食品衛生責任者設置誓約書」を提出することで、数か月の猶予が可能です。その間に食品衛生責任者資格を取得すれば問題ありません。それ以外で食品衛生責任者不在、または名義貸しなど、他人名義で営業すると、行政処分として、指示、営業停止、営業許可の取消しの対象となりますので注意が必要です。

食品衛生責任者の資格を取るには

食品衛生責任者の資格を取るには各都道府県や保健所などが実施している食品衛生責任者養成講習会を受講する必要があります。しかし一部の有資格者の場合食品衛生責任者講習会の受講が免除されます。主な資格として栄養士、調理師、製菓衛生師、食鳥処理衛生管理者、と畜場法に規定する衛生管理責任者、船舶調理人や医師、歯科医師、獣医師、薬剤師などの食品衛生管理者もしくは、食品衛生監視員となることができる有資格者などです。その他平成9年以降他の都道府県で食品衛生責任者の講習を受講し終了している方も免除の対象となります。

食品衛生責任者養成講習会の予約方法は都道府県によって違いますので開業する地域のホームページなどで確認が必要です。また食品衛生責任者養成講習会は申し込みの多い講習会ですが、先着順となっており早めに申し込みをしないと定員に達し次第締め切られてしまう可能性もあります。

食品衛生責任者養成講習会は受講料1万円と受講票の記載を確認できるもの、外国人の場合は在留カード、特別永住者証明書が必要です。講義時間は途中休憩時間を挟んで約6時間に及びます。講義科目としては、衛生法規、公衆衛生学、食品衛生学に関する講義、食品衛生に関するビデオ講習、テストとなっており、最後に受講修了証が交付され、終了となります。

食品衛生責任者は更新が必要な資格?

食品衛生責任者の資格には有効期限はありませんので特に更新したりする必要はありません。しかし地域によっては実務講習会が必須であったり任意であったりするので確認しておく必要があります。東京近辺では任意としている所が多いですが、大阪市や境市その他府下の都市では指定講習となっているようです。任意ではあっても、定期的に食品衛生責任者の実務講習は受講し、食品衛生に関する最新の情報を吸収しておくと良いでしょう。

食品衛生管理者との違い

食品衛生管理者は、食品衛生法第48条の規定により、食品衛生法施行令第13条の食品を製造又は加工する施設において、配置することが義務付けられた国家資格です。

  • 全粉乳(容量が1,400g以下である缶に収められるものに限る)
  • 加糖粉乳・調製粉乳・食肉製品・魚肉ハム・魚肉ソーセージ・放射線照射食品・食品油脂(脱色又は脱臭の過程を経て製造されるものに限る)・マーガリン・ショートニング
  • 食品衛生法第11条第1項の規定により規格が定められている添加物

上記のような条件の場合は必ず施設に一名食品衛生管理者を配置しなければなりません。また、食品衛生責任者と違い国家資格となりますので以下の条件を満たした人だけが食品衛生管理者を目指すことができます。

  • 医師・歯科医師・薬剤師又は獣医師。
  • 学校教育法に基づく大学・旧大学令に基づく大学又は旧専門学校令に基づく専門学校において、規定の過程(医学・歯学・薬学・獣医学・畜産学・水産学・農芸化学)を修了し卒業した者。
  • 厚生労働大臣の登録を受けた食品衛生管理者の養成施設(大学の食品衛生学コースなど)において所定の過程を修了した者。
  • 学校教育法に基づく高等学校若しくは中等教育学校や旧中等学校令に基づく中等学校などを卒業した者(同等以上の学力があると認められた者も含む)で、食品衛生管理者を置かなければならない製造業や加工業において、衛生管理の業務に3年以上従事し、厚生労働大臣の登録を受けた講習会の過程を修了した者。ただし、この4の方法によって有資格者となった場合は、その範囲は同業種に限られる。


食品衛生管理者も食品衛生責任者も飲食店において必ず必要となる資格ですが食品衛生管理者のほうが資格を取るのが難しく配置する際の条件も細かく指定されています。

まとめ

飲食店にとって顧客や従業員の生命の安全を守ることは一番大切なことです。飲食店開業の際、食品衛生責任者は店舗に最低一名絶対に必要なこから資格取得のための食品衛生責任者養成講習会申し込みの多い資格となっています。
食品衛生責任者の資格は都道府県によって更新の有無は違いますが、環境などは常に変わっていくものですので更新の有無に関わらず最新の知識を取り入れることも大切です。

また食品衛生責任者と間違われやすい食品衛生管理者という資格は配置しなければいけない条件も違いますし資格取得にも厳しい条件があります。しかし製造や加工を行わない飲食店ならば食品衛生責任者を最低一名配置することで店舗運営を始めることが出来ますのでまずは各都道府県の食品衛生責任者養成講習会について調べてみましょう。

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