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飲食店の値入率とは 計算方法と原価率との違いを解説

シェアダイン編集部
作成日:2022/04/14
更新日:2023/01/11

目次

 小売や流通業界でよく聞く「値入率」。利益を得る上で大切なものです。この記事では飲食店における「値入率」について解説します。「値入率」と一口に言っても、その業種や業態によってもちろん異なります。更に飲食店の中でも様々なジャンルや形態がありますので、お店ごとに異なります。自分のお店に合った「値入率」をしっかりと出して、利益を上げることが必要です。
この記事をとおして、「値入率」について理解を深めることができるでしょう。
 

値入率とは

「値入」とは、商品の販売価格(売価)を決めることをいい、「値入率」とは、販売価格と仕入原価の差額に対しての利益の割合(%)のことをいいます。「値入率」は、販売価格を決める上で大事な指標となります。
 
「値入率」は商品を販売する前の見込みを示すものですが、対して「粗利率」とは、商品(一皿)を販売した後の実績値を示します。つまり、「値入率」から廃棄や値引きによる「ロス率」を引いたものが「粗利率」ですので、「粗利率」が「値入率」を超えることはありません。

「粗利率」は、どれだけ利益が上がっているのかを示す指標となりますので、飲食店の経営においては理解した上で、しっかりと把握することが必須となります。
 
「値入率」と「粗利率」の違いはこの「ロス率」が影響します。「値入率」は商品を販売する前、「粗利率」は販売した後のパーセンテージということになります。飲食店ではどうしても商品が売れ残り、廃棄するものが出てしまうことは避けられないと思いますが、できるだけ廃棄を少なくし、「ロス率」が上がらないように工夫することも大切になってきます。ある程度「ロス率」を見込んだ販売価格の設定も必要となります。
 
お店の売り上げが上がっても利益が出ない場合は、その原因に「値入率」が悪いということがあります。したがって、「値入率」は飲食店が営業を継続していくために非常に大切な数値です。
 
 

値入率の求め方

「値入率」を求めるための計算式は次のようになります。
値入率(%)=(販売価格-仕入原価)÷販売価格×100
 
たとえば仕入れ値が140円の商品を200円で販売する場合は
(200-140)÷200×100=30
となりますので、「値入率」は30%となります。
 
商品の「値入率」の見直し作業は非常に大切です。想定していた「粗利率」が確保できない場合は、「値入率」の見直しが必要となります。
 
 

原価率との違い

「原価率」とは、売上高に占める原価の割合のことを言います。たとえ売上高が伸びても、原価が高ければ大きな利益にはなりません。適切な「原価率」で経営を行うことがとても重要になります。
 
飲食店における原価とはメニューにおける材料費のことです。家賃や広告費等は原価には含まれず、これらは販売費や一般管理費といった区分に当たります。原価を抑えることができれば、その分利益が上がるということですので、利益と原価は密接な関係になります。

とは言え、単純に原価率を下げるだけで利益を出せるというわけでもありません。原価率を抑えようと仕入れ費用を節約しないで販売価格を上げてしまうと客足は遠のきます。その反対に、仕入れコストを低くすると料理の品質が落ちてしまい、それもまた客の信用を得ることができません。

「原価率」の求め方は原価を売上高で割りますので、計算式は
原価率=原価÷売上高
となります。
 
売り上げが1,000円、原価が200円だった場合は
200÷1,000=0.2
「原価率」は20%ということになります。
 
「値入率」を求める際にも、常にこの「原価率」がとても重要です。特に飲食店の場合は、季節やその時々の情勢によって材料の価格が変動してしまうことが多くあります。天候によって野菜の価格が高騰するといったことも起こりやすく、「原価率」が上昇してしまうことが避けられません。とは言え、季節や情勢によって販売価格が変動してしまっては顧客の確保が難しくなります。
 
原価を一定に保つのは難しいですが、仕入れ価格に変動があった時や粗利率の見込み計算や売り上げの分析をする時等に見直しながら、経営していくことが大切です。

関連記事:
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飲食店の値入率の目安

一般的に飲食店の「原価率」は30%と言われています。「値入率」を計算する場合は、これが基準となります。飲食店における原価とは材料費のことだと言いましたが、原価=材料費を抑えることができれば、その分利益も上がるというわけです。
 
しかし、飲食店と一口に言ってもいろいろなジャンルや形態によって業種や業態はもちろん異なります。自分の店の「原価率」あるいは「値入率」はどのくらいが適当なのかを考えていく必要があります。たとえば飲み物中心の喫茶店やカフェなどでは「原価率」は低く、フードメニュー中心の食堂やレストランなどでは高くなります。また、フードメニュー中心の飲食店でもパスタやピザなどのイタリアンでは「原価率」は低く、高級な食材を使う寿司屋などは「原価率」が高くなります。
 
フードメニュー中心の飲食店でも飲み物は提供しますので、「原価率」の高いフードメニューと「原価率」の低い飲み物のメニューとをうまく組み合わせていくことも大切です。
 
自分のお店に合った「原価率」を計算し、そこから「値入率」を求めていくことが大切となります。

関連記事:
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まとめ

  • 「値入率」とは、販売価格と仕入原価の差額に対しての利益の割合(%)のことを言い、販売価格を決める上で大事な指標となる。
  • 「粗利率」の確保のために、「値入率」の見直しは大切。
  • 売上高が伸びても、原価が高ければ大きな利益にはならないので、適切な「原価率」で経営を行うことがとても重要。
  • 自分の店に合った「原価率」を計算し、そこから「値入率」を求めていくことが大切。


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