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飲食店経営時に関わる消費税の解説 仕入れ時の消費税や軽減税率とは

シェアダイン編集部
作成日:2022/03/25
更新日:2023/01/26

目次

令和元年(2019年)10月に消費税が10%になって消費税率が10%と8%の二段階になりました。みなさんの中でも戸惑いや混乱はおありだと思います。
 
例えば、以下のような疑問があるかと思われます。
・スーパーやコンビニで食料品を買ったら消費税8%だが、外食すると10%になる
・ハンバーガー店や牛丼店では店内で食べると消費税率10%になるが、テイクアウトだと8%でよい。どんな場合までが8%でどんな場合が10%かがわからない。
・飲食店の経営において、食材の仕入れの消費税率は?あるいは酒類や容器については?
 
この記事ではは以上のような疑問点を解消するために書かれました。順にご説明いたします。さっそく、軽減税率からご説明i致します。
 
 

軽減税率とは

国税庁のホームページで「軽減税率制度の概要」というサイトを見てみると以下のようになっています。
 
『消費税及び地方消費税(以下「消費税等」といいます。)の税率は、令和元年10月1日に、それまでの8%(うち地方消費税率は1.7%)から10%(うち地方消費税率は2.2%)に引き上げられました。
 また、これと同時に、10%への税率引き上げに伴い、「酒類・外食を除く飲食料品」と「定期購読契約が締結された週2回以上発行される新聞」を対象に、消費税の軽減税率制度が実施されています。
 軽減税率制度の実施に伴い、令和元年10月1日からの消費税等の税率は、以下のとおり、標準税率(10%)と軽減税率(8%)の複数税率となりました。』
 
参考:軽減税率制度の概要|国税庁 (nta.go.jp)
 
ご覧の通り、令和元年(2019年)の消費税増税以降、消費税率は10%になりましたが、一般に食料品と新聞には8%の安い消費税率を適用し、税負担を軽減するというものです。
 
しかしながら、軽減税率制度において外食と酒類は除外されています。外食などは10%の標準税率が適用されます。では、「外食とは何か」という定義について次章でご紹介いたします。
 

外食の条件

外食とは、食堂やレストランなど家庭外でする食事を言います。一方、家庭内で食べる食事は内食と呼ばれ、特に外で買ってきたもの(お惣菜・お弁当など)を家庭内で食べることは中食と呼びます。以上のように、家庭の外で出されたものを家庭の外で食べることを外食と言います。
 
外食店でも特に大手の資本のファミリーレストランチェーンやファストフードチェーンは外食産業と呼ばれ、多くの人々に親しまれています。チェーン店は主に1970年代に誕生し、また1990年前後のバブル期には我が国においてグルメブームが到来し、テレビでもグルメ番組がもてはやされました。グルメブームの到来で外食はいっそう隆盛をみるようになったのです。
 

テイクアウトは軽減税率に入る?

消費税率の観点では、外食は標準税率の10%となりますが内食や中食は軽減税率の8%が適用されます。内食や中食は食料品と同じ扱いを受けるのです。外食を内食・中食と分けた考え方はドイツの消費税法に倣ったものと見られますが、ドイツの消費税率にはもっと大きな税率の差があります。ドイツの消費税率は以下の通りです。
 
『ジェトロが2月10日に取りまとめた「2020年度 欧州・CIS投資関連コスト比較調査」(注)によると、ドイツでは2020年7月から12月末まで付加価値税(VAT)が19%から16%に引き下げられ、軽減税率は7%から5%となった。』
 
参照:欧州、付加価値税の引き下げ相次ぐ、インフレ率にも影響(EU) | ビジネス短信 ―ジェトロの海外ニュース - ジェトロ (jetro.go.jp)
 
我が国では行われていませんが、ヨーロッパ各国では新型コロナウイルス感染症により受けた経済的ダメージからの脱却のために軽減税率も含めた消費税率の引き下げを行っているのです。
 

一体商品とは

一体商品(一体資産とも言う)は軽減税率において重要なポイントです。例えばお菓子とおまけのシールやアクセサリーのように食品と食品以外の商品が一体となって販売されている商品のことで、他にも紅茶のティーバッグとセットで販売されているティーカップなんかも一体商品と言えます。
 
一体商品の定義は下記の通りです。一体商品の具体例は前述のものの他、国税庁のQ&Aに掲載されています。
 
『①一体資産の対価の額(税抜)が1万円以下で、
➁一体資産の価額のうち一体資産に含まれる食品部分の価額の占める割合が3分の2以上
であれば、全体について、軽減税率が適用される取扱いです。』
 
参照:一体資産の摩訶不思議(軽減税率) - 一般社団法人 東京法人会連合会 (tohoren.or.jp)
 
上記の①と②の条件がそろえば軽減税率が適用されるのです。しかし、例外は存在して例えば、お中元やお歳暮でビールとジュースのセット販売で「ビール1500円・ジュース1200円」などと価格が明示されている場合は一体商品の適用はありません。あくまでも全体の価格が一体になっている場合のみです。
 

お酒の税率

お酒の税率は酒税と消費税からなります。お酒とは言ってもビール・発泡酒・清酒(日本酒)・ワイン…などさまざまですし、何度も税率改正されています。令和2年(2020年)10月現在の税率は以下の通りです。

参照:お酒にはどれくらいの税金がかかっているのですか? : 財務省 (mof.go.jp)
 
例えば、代表的なビールなら大瓶1本(633ml)に126.6円の酒税と32円の消費税が加算され、合計352円となります。税負担は45.1%です。消費税は一般の食料品とは異なり、標準税率の10%が適用されます。
 
しかし、現行の税制では発泡酒やその他の発泡性醸造酒(いわゆる新ジャンル)、リキュールの税率が安すぎるという指摘があることからできる限り税率を引き上げてビールと一本化しようとする動きがあります。2026年10月に以上三者を350mlで54.25円に統一するというものです。
 
財務省としては安いお酒に高い税率をかけることで安定した税収の確保を考えているのです。一方、チューハイは税率引き上げ、清酒と果実酒は税率統合を予定しています。
 

仕入れの消費税

消費税の計算において、仕入のために支払った消費税は納税において国に納める消費税から控除することができます。仕入れ税額控除と言います。
 
飲食店の経営者の方が消費税の計算をされる際に、食品の仕入れ税額と食品以外の資材などの仕入れ税額を区別して帳簿をつけ、区分経理する必要があります。各々8%のもの、10%のものと分けて記載し、納税の際に税務署に提出しなければなりません。

参照:飲食店は知っておきたい食料や飲料の仕入れに関する軽減税率について | メルペイ加盟店・スマホ・QRコード決済 (merpay.com)

食品の仕入れの税率は?

例えば、お弁当屋さんの場合なら食品(米、野菜、魚介類、肉類、調味料など)・お酒(ビールなど)・資材類(お箸・容器・お手拭きなど)に分かれるかと思われます。お酒と資材は後述するとして、食品は軽減税率が適用になりますから仕入税額控除は払う時と同様、8%となります。
 

お酒の仕入れの税率は?

お酒の仕入れの税率は前述のように消費税10%で計算します。10%払って仕入れているので、10%での仕入れ税額控除が可能です。
 
ただ、お酒に関して注意していただくことはみりんや料理酒は酒類として10%で扱うということです。酒類の定義がアルコール度1%以上というところからきています。したがって、アルコール度1%未満の「みりん風調味料」は酒類に該当せず、食料品として消費税率は8%になります。
 

容器の仕入れの税率は?

容器の仕入れの税率は前述のように消費税10%で計算しますから、10%での仕入れ税額控除が可能です。付随するお箸やお手拭きなども同様です。食品とは区別して記帳するといいでしょう。
 

まとめ

現行の消費税制には軽減措置の制度があります。軽減措置は食料品が生活するうえで必需品だから設けられた制度です。一方、外食やお酒は言わば嗜好品と考えることができます。必需品には税金を安くし、嗜好品にはやや税金を高くする。ただし、境目が難しいのはご覧の通りです。
 
また、軽減措置があるがゆえに仕入れ税額控除も複雑になりました。しかし、みなさんは「8%で仕入れたら8%で控除できる、10%で仕入れたら10%控除できる」と覚えて、各々帳簿をつけるようにしてください。

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