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居抜き店舗とは スケルトン店舗も合わせて解説

シェアダイン編集部
作成日:2022/03/15
更新日:2023/08/04

目次

新たに飲食店をオープンする際、設備や機材、内装などを一から揃えるのは大変な時間とコストがかかるものです。開業までの時間と初期費用、両方の負担を抑えることが出来る方法のひとつとして、店舗を“居抜き”で利用するという方法が考えられます。
この記事では、居抜き店舗とは、居抜き店舗のメリット、居抜き店舗のデメリット、スケルトン店舗とは、について、それぞれ解説させていただきます。
一見お得に見えるような居抜き物件の店舗利用ですが、プラスの面があればマイナスの面も存在します。この記事を通して、居抜き店舗についての情報を正しく理解することで、自身の出店の際に納得した上での選択が可能となるでしょう。
 

居抜き店舗とは

居抜き店舗とは、以前に入っていたお店の火元や水道の設備、厨房の機材や店内の内装や外装、空調など、店舗に残っている設備をそのまま利用して新たな店舗の出店が出来るものになります。一から設備を導入することに比べると。コストも時間も遥かに少なく抑えられます。
以前まで実際に営業をしていた場所なので、営業時の動線や造りが考えられているものが多い点が特徴です。ラーメン店で例えると、スープを取るための大きな寸胴を置くことが出来る火元設備、麺を茹でるための大きな茹で釜、鍋を振るための強火が可能な業務用のガス台など、普通の物件にはないような特殊な設備が最初から揃っている状態です。それらを扱える人間と食材が揃えばすぐにでも機能することが可能となります。
このような居抜きの物件は普通の不動産にあることもありますが、居抜き店舗専門の不動産業者も存在しますので、店舗の業態と店内のイメージを伝えることでそれに近いものを紹介してもらえる可能性があります。
 

居抜き店舗のメリット

 

・開業までの時間と初期費用が抑えられる

居抜き店舗の最大のメリットになります。
設備を一式揃える際の手間と時間とコストのすべてを削減、初期費用を抑えることができ、その分を集客や食材の仕入れに充てることでお店を軌道に乗せやすくなります。額が少ない分、初期投資の回収もしやすいため、開業の際のリスクが少ないのも魅力のひとつです。
 

・周囲への認知度を活かせる

同じようにラーメン店で例えますと、居抜きで使うことで店の造りは大きく変わらないため、あそこに新しいラーメン屋が出来た、という周囲の認識が最初から高い状態で営業が始められるというメリットが挙げられます。新しくオープンするお店はまず何を売るお店なのかをアピールするところから始まるため、そこの時間を削減できることは新店にとって大きな強みになります。
 

・退去する側のメリット

居抜き物件は入る側だけでなく退去する側にもメリットがあります。
店舗の特殊な設備は撤去するだけで費用が掛かることもあるため、それらを残したまま退去することで不要な出費を減らすことが可能です。また、それらの設備は退去者の財産とみなされることが多いため、無償で引き継ぐ場合でなければ“造作譲渡”という新しく入居する人へ財産である設備を有償で譲る手続きが必要なことから、造作譲渡料としていくらかを回収することが出来ることもあります。
 

居抜き店舗のデメリット

 

・以前まで使われていた中古の設備である

最初から設備が揃っていることはメリットでもありますが、中古であるというデメリットでもあります。前に入っていたお店にもよりますが、ものによっては旧式の設備であったり、使いにくい種類であったり、業種が違えば全く使わないなどということもあります。正常な動作の確認や設備の使い方などはよく確認することが必要です。
 
・見た目が大きく変わらないので目新しさがない
内装や外装をそのまま活かすのであれば、お店の雰囲気自体はそこまで大きく変わることも少ないため、前のお店を知っている人からすると目新しさには欠ける部分があります。
万が一、前のお店の周囲の印象があまり良くなかった場合、そのイメージを引きずってしまうことで、新しいお店に非はなくても滑り出しが上手くいかなくなる可能性はあります。
 

・好みの雰囲気やレイアウトのものが見つかりづらい

内装の造りや厨房の設備はある程度決まってきてしまうため、自身のイメージ通りに当てはまるような物件に当たることは少ないのもデメリットのひとつです。
仮に雰囲気や内装がイメージ通りでも、業種の種類によっては実際に営業する際に不具合が生じる可能性もあります。中華料理でよく使う火力の強い大きなガス台は日本料理ではあまり使いませんし、反対に日本料理でよく使う魚をさばくための大きなシンクは中華料理ではそこまで使いません。
もし雰囲気がイメージ通りで内装や設備の条件が整っていたとしても、お店の業態がその土地の客層に合っているか、需要があるかによっても経営は変わってくるため、すべての条件が揃う物件となると難しい部分がある点は否めません。
 
                 

スケルトン店舗とは

内装や設備などをすべて撤去済み、コンクリートがむき出しで建物自体のみの物件をスケルトン物件と呼びます。これを飲食店の店舗として利用するものをスケルトン店舗といい、すぐにお店を始められる状態が整った居抜き店舗とは正反対の状態です。
 
スケルトン物件の最大のメリットは入居する側が内装や設備などの造りをイメージ通りに自由に設計できるという点です。居抜き物件では内装や設備が揃っているぶん、最初からある程度お店の雰囲気や仕事の動線などが決まってくることになりますので、自分のイメージ通りのお店を作ることが可能なスケルトン物件を選ぶことは大きなメリットであると言えます。
設備も新しいもので揃えることになるため、器具の保証や使い方が分からなかったりといった問題も起きにくく、こだわりのあるお店作りをする場合はスケルトン物件が向いています。

また、賃貸物件の募集が一番多いのもスケルトン物件になるので、オープンする際の選択肢が多いのもメリットのひとつです。居抜きの物件はスケルトン物件と比べると場所が限られる点や、業種によっては仕事しにくい構造になってしまう点などの懸念点があるので選択肢の幅は狭まります。自由度の高さでいえばスケルトン物件になるでしょう。
                                                  
逆に、スケルトン店舗のデメリットは時間とコストがかかることだけだはありません。
まず、何のお店なのかを周囲に知ってもらうまでに時間がかかりやすい点です。
居抜き店舗の場合は、お店の見た目が大きく変わらないこと、業種が近いものであることが多いため、そこが同じ系統のお店と認識された状態でオープン出来ますが、スケルトン店舗の場合はまずお客様に知ってもらうため、最初の集客に力を入れる必要があります。
また、万が一お店を閉店するとなった場合、スケルトン物件の賃貸は元の状態に戻す契約の場合が多いため、設備や内装にこだわって費用をかけた場合は撤退の際に必要以上に費用がかかってしまう場合もあります。
 

まとめ

居抜き店舗とは、以前に営業していたお店の設備や内装をそのまま活かして新たにお店をスタートさせる方法です。最大のメリットとして、最初から設備が揃っていることからオープンまでの時間とコストを大幅に削減することが可能となります。近隣の人に飲食店がある場所と認識してもらっていることが多いことも、一から立ち上げる店舗に比べての強みと言えます。
デメリットとして考えられるのは、最初から設備が整っているぶん、自分の理想通りの造りとなっていることは少ない点です。内装の好みやお店の場所の条件なども加味すると、選択肢は大幅に狭まってしまうことになります。
設備が最初から揃っている居抜き店舗とは反対に、建物自体以外のすべての内装や設備が撤去され、コンクリートのみの状態になっているものをスケルトン店舗といいます。
居抜きと比べるとオープンの際にコストと時間はかかりますが、自分のイメージ通りの造りにできること、物件自体の募集数もスケルトン物件の方が多いことから、こだわりの店づくりを考えるならば選択するメリットは大きいでしょう。

どちらの物件にもメリットとデメリットは存在します。お店をオープンするにあたって、絶対にこだわりたい点、譲れない点を考えて物件を選択することが必要です。

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